研究課題/領域番号 |
05232102
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高安 秀樹 東北大学, 大学院・情報科学研究所, 教授 (00183062)
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研究分担者 |
金子 勝比古 熊本大学, 工学部, 助教授 (20128268)
佐々 宏一 京都大学, 工学部, 教授 (40025953)
佐野 雅己 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (40150263)
橋田 俊之 東北大学, 工学部, 助教授 (40180814)
由佐 悠紀 京都大学, 理学部, 教授 (90025403)
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キーワード | フラクタル / 破壊 / マルチクラック / 微小地震 / ユニバーサリティクラス / 衝撃破壊 / リニアメント / 地下断裂群モデル |
研究概要 |
(1)脆性物体の衝撃破壊を考え、破壊法とよばれる平面波上でき裂の進展が起こることに基づいた数値モデルを提案した。衝撃破壊による破片質量分布が被破壊物体の物性の詳細によらないことを数値シミュレーションによって明らかにした。(高安)(2)別府地熱地域を対象にして、地熱流体流出量・放射熱量・地温分布・比抵抗構造・キュリー点深度・噴気ガス組成等の試料を整理し、気液二相流理論を適用して、地下約6km深に至る総合的な地熱構造モデルを構築した。(由佐)(3)岩石の微視的強度分布の評価方法を検討した。ネットワークモデルを用いて数値実験により評価方法の有効性を検討した後、2種の岩石について1軸引張り試験を行い、AE計測結果を基に微視的強度分布を評価した。(橋田)(4)バネモデルを用いて、衝撃破壊の数値シミュレーションを行ない、破片サイズのべき乗分布則を再現した。また、有限サイズスケーリングの理論を展開し、物体の次元をd、衝撃波の進行波面の次元をDとすると、べき乗指数β=2-(D/d)という一般的関係が成立することを示した。(佐野)(5)亀裂によって発生する速度異方性の大きさと方向を検出する速度異方性トモグラフィ探査法を開発した。気体を亀裂内に注入することによって、亀裂検出精度が著しく向上することを確認した。(佐々)(6)リニアメント計測に基づいた断裂群のフラクタルモデルを提案するとともに、数値シミュレーションにより花崗岩体の地下断裂群分布状態を予測した。また、ボーリング計測によるモデルの直接確認法を提案した。(金子)(7)空中写真から抽出されたリニアメントを現在の地形と過去300万年の地盤の動きと対応させ、方向性と密度を予測した。また、精密放射能探査と教師データを使用した画像解析でリニアメントの高精度検出法を確立した。(高島)(8)昨年の2地域に加えて、今年度は新たに3地域の断層を総計1500本計測し、断層破砕帯の幅と変位量、サイズ分布、断層の位置と変位量の空間分布などのフラクタル解析を行った。その結果、空間分布のフラクタル次元が総注入エネルギー密度と媒質の脆性度に対し、負の相関を持つことなどが明らかになった。(大槻)(9)弾性波速度や密度の構造はかなり強い不均質性を持つ。九州・関東2地域の5井における検層データの解析を行った結果、これらのゆらぎのパワースペクトル密度は、波長に対して2mから数百mの範囲でべき乗則を満たすことがわかった。検層器の平均化特性の補正を行うと、べき乗則が成り立つ範囲は0.2から0.3mまで伸び、その傾きは九州で1.3から1.6、関東で1.1から1.3であった.大陸地殻での解析を考慮にいれると、構造のゆらぎのべきはテクトニックな活動の盛んな領域で大きく、安定な領域で小さくなると予想される。(佐藤)(10)本年度は岩石(主として溶結凝灰岩)の破壊面粗度にフラクタル次元を適用し、強度の異方性やばらつきがその破壊面形状と関係し、デバイダー法によるフラクタル次元と強い相関のあること、また、次元の値が破壊表面の大きさの指標となることを確認した。(田野)
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