研究概要 |
高温岩体からの熱抽出を目的とした一連の研究の中で,岩石と熱水の相互作用について地下反応の実験室的再現のための高温岩体と熱水の相互反応シュミレーターの開発を行い平成6年度にほぼ完成させた。この装置を使用して,花崗岩と熱水の相互反応を検討し,地下モデル実験を再現させた。地上からの水の注入井領域は比較的温度が低く,生産井領域では,高温岩体と同じ温度になっていると考えられる。まず密閉系のオートクレーによる模擬試験からは花崗岩をそのままに,新鮮液を回分式に加える実験からは注入井領域での溶解反応,そして抽出液をそのままに新鮮花崗岩を回分式に加える実験からは生産井領域での反応を模擬する実験を行い,寿命計算への応用について研究の展開を計りつつある。ついで,温度勾配を持った反応管に花崗岩を充填し,熱水を通過させる実験を行った。反応後の花崗岩試料の解析および反応中の溶液分析を行い,溶解反応は主に300〜340℃で起こり,析出は350℃以上で急激におこることを確認した。また溶解と析出の時間変化は単純な比例式に当てはまることも確認した。これらの結果は抽熱の制御あるいは地熱抽出の寿命計算に不可欠のデータとして提供できることになる。
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