研究分担者 |
秋林 智 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (90006669)
木島 宣明 岡山大学, 地球内部研究センター, 講師 (30033260)
東 正治 高知大学, 理学部, 教授 (90036583)
井沢 英二 九州大学, 工学部, 教授 (50037751)
中塚 勝人 東北大学, 工学部, 教授 (60005345)
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研究概要 |
岩石-熱水相互反応によるフラクタル亀裂の化学的・物理的変化が高温岩体からの熱抽出に基本的な影響を与える理由から,研究を立案・実施,本年度における画期的な成果は以下の通りである。 (1)前年度までに開発した地殻内における亀裂内の岩石-熱水相互反応のシミュレーターを使用し,温度,温度分布,流速をパラメーターとした亀裂内の溶解-沈積過程を明らかにした。これらの結果は地熱抽出への展開ばかりでなく,地球化学における鉱物の変質あるいは鉱床学に画期的で情報を提供できる研究方法として重要性をもつ。また非平衡の反応解析としても大きな研究展開が期待できることになる。 (2)天然におけるフラクタル亀裂の例として,鹿児島県の菱刈金鉱床で解析を行い,そのフラクタル性の3次元解釈を行った。この成果は自然界の地殻内亀裂の解釈としては,初めての例であると考えられる。 (3)フラクタル亀裂を制御するための熱水下での閉塞剤の開発としてスメクタイト系の粘土合成を亀裂内で行わしめ,各種温度で自由に固化閉塞させる素材の開発に成功した。この研究成果は,地熱抽出の制御ということで開発されたものであるが,地殻の掘削のあらゆる分野への展開が可能であり,広い応用展開が期待できるものである。 (4)岩石-熱水の250℃条件下でのpH測定装置の開発を行い,計測に成功すると同時に理論計算と一致することを確認した。高温におけるpH測定すら困難であって,その例は超純水の制御として,原子力発電で部分的に開発されてきたものである。流動系でしかも比較的高濃度の岩石溶解物質を含む系での測定は初めてであり,しかもこの結果が理論計算とほぼ一致を見たことから,熱水溶液反応全般への展開および貢献が期待できる。
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