研究課題
金属内包フラーレンLa@C_<82>結晶については、溶媒を含まない微小粉末結晶を用い、放射光X線回折を行った結果、結晶は室温で面心立方格子であることを初めて見いだした。これは、溶媒を含む結晶より対称性が高く、分子回転している状態にあることを示しており、低温での構造相転移が期待される。高次フラーレンC_<76>結晶では、結晶の外形が10回対称を特異な結晶が得られた。X線回折解析の結果、 黄金比(1:1.618)の軸比を持つ単斜晶系の結晶が互いに双晶関係を保ち成長した結果、生じたものと判明した。構造解析の結果、溶媒がフラーレン分子間に介在することによって生じるものと結論できる。この結晶は高温で溶媒が蒸発し、基底構造である面心立方格子に転移することが判明した。このC_<76>結晶は、低温で分子回転の凍結に由来する構造相転移を示すことを明らかにした。この相転移は、X線回折および^<13>C-NMR実験によって、C_<76>分子回転のダイナミックスを明らかにした。電子的性質;従来から、M_1C_<60>結晶(M;アルカリ原子)の電子構造については、半導体であるとするものと金属とするものの間で大きな論争があったが、我々は、高圧実験において、常圧で半導体的伝導を示すが、0.5GPa以上で金属相に転移することを初めて発見した。これは高圧下では、分子間距離が減少し、金属相になったものと考えられ、電子相転移の可能性があり極めて興味深い結果である。超伝導機構;NMR実験から種々の化合物における電子状態密度とTcとの関係を詳細に決定し、BCS理論による超伝導機構でほぼ説明できる結論された。光学的性質;PASによる光吸収実験において、低温での構造相転移に関連するバンド内準位を観測し、分子の方位乱れによる電子構造への影響を始めて観測した。
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