研究課題/領域番号 |
05233103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
広部 雅昭 東京大学, 薬学部, 教授 (20012594)
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研究分担者 |
宮田 直樹 国立衛生試験所, 有機化学部, 部長 (50114674)
今井 一洋 東京大学, 薬学部, 教授 (50012620)
高柳 一成 東邦大学, 薬学部, 教授 (70012599)
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キーワード | フラーレン / シトクロムP450 / エポキシド / 変異原性 / 胎仔細胞分化促進 / グルタチオン-S-トランスフェラーゼ / モルモット回腸 / 一重項酸素 |
研究概要 |
本研究では、フラーレン類の生体へ及ぼす影響・機能について主として生物学的立場から明らかにすることを目的とし、その生体内代謝、動態、薬効、毒性、その他の生体特異的機能を検討し以下に示す成果を得た。 1)フラーレンおよびその代謝物の微量分析を目指しLC-MS法を開発した。 2)薬物代謝酵素シトクロムP450の化学モデルを用いた実験よりフラーレンはエポキシ体に代謝されると予想していたが、実際フラーレン誘導体がシトクロムP450によりエポキシ化されることを肝ミクロソームレベルで明らかにした。これはBiological systemによる初めてのフラーレン骨格の変換である。 3)フラーレン類の癌原性を検討したところ活性酸素感受性株で弱いながら変異原性が見られた。この変異原性はフラーレン類が光励起されて一重項酸素を生成し、脂質過酸化が誘起された結果であることが示唆された。 4)ラット胎仔細胞の分化、増殖促進という従来の化合物にはない作用を見い出した。 5)主に毒性代謝物の解毒を司るグルタチオン-S-トランスフェラーゼの中でもがん細胞に多く発現するアイソザイムに対する阻害効果がフラーレン類に見られた。 6)フラーレン類をモルモットに連続投与後、回腸を摘出しアセチルコリンなどへの応答を検討したが対照群に対し明らかに感受性が低下していた。 7)シトクロムP450化学モデル系にて得られたフラーレンの代謝物候補(エポキサイド類)の一重酸素生成能を検討したところ酸化が進行するに従い低下する傾向が見られた。 以上興味深い結果が得られたが、今後は作用機序等について検討を加える。
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