研究課題/領域番号 |
05233227
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
関根 久 帝京大学, 理工学部, 助教授 (60246014)
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研究分担者 |
徳本 〓 工業技術院, 電子技術総合研究所, 主任研究官
大庭 卓也 帝京大学, 理工学部, 助教授 (00211110)
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キーワード | C_<60> / IBrドープ / IClドープ / 新機能創製 / bco(底心立方格子) / 電子受容体 / ZFC及びFC / 共鳴周波数 |
研究概要 |
同研究者らは、平成5年度において、C_<60>にIBrをドープして新機能を創製する研究を行ってきた。同研究者らは、試料の生成条件の最適化をSQUIDでの磁化曲線の測定、構造解析、及びNMR等の電子物性的測定と同時並行の形で行った。その結果、比較的大きな磁化を得るための組成・熱処理条件をおおよそ把握し、精密な構造解析の結果、結晶構造がbco(底心立方格子)であることを確認した。また、再現性よく強磁性的現象を得ている。さらに、ICIのドープを予備的に行い、ICIとC_<60>の仕込みモル比がおよそ1.5:1のときに、SQUIDによるシグナルは小さいが、ZFC(零磁場冷却)とFC(磁場中冷却)の場合のMT(磁化-温度)曲線に相違がみられる実験結果を得た。また、IBrドープとICIドープでは結晶構造や磁気的転移点が全く異なることも確認した。さらに、同研究者らは、IBrドープC_<60>とICIドープC_<60>(予備実験試料)を用い、ドーピングによる電子状態の変化などを調べるために、NMRの測定を行った。その結果、まだ予備的段階ではあるが、IBrドープでは、ドーピングによってNMRの共鳴周波数の位置が明らかに異なることをみいだした。ハロゲンのような電子受容体のドープによってC60結晶の電子状態の変化をみいだしたのは初めてであり、興味ある成果といえる。今後、生成条件の適正化、構造及び磁性の比較及びNMRの測定等を組み合わせて、より掘り下げた研究を行う予定である。特にICIドープに関しては、IBrドープの研究で得た生成に関する多くのノウハウを生かして、より適正な生成条件を把握し、磁性の正体を明かにするする方針である。
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