望みの絶対配置を有するキラル分子を選択的に与える触媒システム、あるいはキラル分子の左右を完全に識別する不斉ホストの開発は、有機化学上、極めて重要な課題である。このためには、基質分子の官能基を厳密に認識するユニットを触媒(ホスト)の三次元空間内に精密に配置する必要性がある。本研究ではこのような観点に立ち、剛直なポルフィリン骨格上に、官能基を認識するサイトを三次元的に導入した右図のような分子不斉N-置換ストラップポルフィリンの分子設計を行った。 本年度はこの分子不斉ポルフィリンの鏡像体がキラルなHPLCより光学分割可能であり、それらが完全に鏡対称のCDスペクトルを示すことを見いだした。さらに、この亜鉛錯体がアミノ酸誘導体アニオンを高不斉選択的に捕捉することを見いだした。
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