研究分担者 |
吉田 潤一 京都大学, 工学部, 教授 (30127170)
山村 庄亮 慶応義塾大学, 理学部, 教授 (40076708)
西口 郁三 大阪市立工業研究所, 有機化学課, 研究員 (20026347)
手塚 還 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (50118668)
小久見 善八 京都大学, 工学部, 教授 (60110764)
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研究概要 |
通常の反応では得難い超活性反応種を創成し、達成困難な合成課題へ適用するために、研究を進めた。研究成果を5項目に要約する。 1)有機金属化合物の電解酸化・還元 遷移金属化合物の電解酸化・還元で、Ru(VII,VIII),Os(VIII)などの高原子価金属やPd(0),Ni(0),Fe(0)などの配位不飽和な低原子価金属錯体を発生できる。これらの錯体の電解系での挙動を解明し、それぞれの特徴を活かした新規触媒系の開発した。Pd(0),Ni(0),Fe(0)錯体による新規炭素-炭素結合形成や特異的官能基変換、キラルRu(VIII),Os(VIII)錯体を触媒的不斉源とする電解不斉ジヒドロキシ化、エポキシ化などに新展開があった。一方、有機スズ、ケイ素化合物の一電子酸化による炭素-スズ、炭素-ケイ素結合の切断で生成する炭素カチオンやラジカルの電解系特有の反応を見いだした。 2)ヘテロ原子化合物の電解酸化還元 ホスフィンの一電子酸化で生成するリン反応種を巧みに活用したδ-ケト酸の環化反応や、高配位有機ヘテロ原子化合物の合成、チオアセタール類の選択的脱保護、スルフィド類のα-炭素上での官能基変換法などの開発に成功した。 3)酵素反応を範とする電子移動系の創製 ガラクトース酸化補酵素、ドーパミン-β-ヒドロキシラーゼ、複素環オルトキノン系酵素などの酸化還元機能の解明を行なった。 4)グロー放電電解 通常の電解条件下でも得難い超活性反応種を創成し、制御するために、接触グロー放電電解やグロー放電プラズマ中での反応を精査した結果、非水溶媒中では通常の電解系で見られない活性反応種の生成が示唆された。 5)電解系で発生する活性反応種の合成への展開 バンコマイシン、(-)-エメチン,タカモニンなどの生理活性化合物の電解系で発生する活性反応種を鍵行程に活用する新規合成法を開発した。ケトンの選択的フッ素化・ラクトン化、オレフィンのジアゾメトキシ化などにも新展開があった。
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