Underpotential deposition(UPD)は電極表面への触媒活性付加等を目的として電気化学的には数多くの研究がなされているが、そのほとんどが多結晶電極を用いて行われてきた。本研究では、単結晶電極を用いて、その表面での酸素還元触媒活性に対する銅(Cu)UPDの影響について原子レベルでの表面構造との関係から検討を行った。 0.05M H_2SO_4溶液中でのPt(111)上における酸素還元は+0.9V vs RHE付近から観測され、+0.5V vs RHE付近で定常電流が観測される。これに対し、5mM CuSO_4を含む0.05M H_2SO_4溶液中では、Cu UPDの電流が立ち上がる電位から酸素還元に起因する電流は減少し、Cu UPD第1波後の電流値は無垢のPt電極の場合に比べ約1/2になった。これは電極表面に析出したCu原子により、Pt(111)上での酸素還元反応機構に変化が生じたためと考えられる。つまり酸素還元初期の段階において、無垢なPt(111)電極表面では酸素分子のbridgeタイプ吸着(その後、4電子還元が進行する。)が起こる。これに対し、CU UPD第1波後Pt(111)表面にはCu原子による(√<3>x√<3>)R30゚構造が形成されるため、bridgeタイプの吸着サイトが消失する。これにより、酸素分子の吸着はend-onタイプ(その後、2電子還元が進行する)に変化すると考えられる。 この様な吸着機構の違いから実験結果をうまく説明出来ると考える。
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