研究分担者 |
鈴木 寛治 東京工業大学, 工学部, 教授 (30106629)
伊藤 卓 横浜国立大学, 工学部, 教授 (50016721)
桑嶋 功 東京工業大学, 理学部, 教授 (50016086)
安田 源 広島大学, 工学部, 教授 (00028200)
高橋 成年 産業科学研究所, 教授 (70029875)
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研究概要 |
有機遷移金属分子は有機基との結合様式が多様で,物質変換における触媒機能や反応剤機能としての幅広い金属の化学的機能の発現が期待できる。本研究では,こうした反応化学の立場から,基幹となる有機遷移金属分子の設計と合成を目的として以下の成果を得た。 1 低原子価ルテニウム触媒と過酸化物を用いてオキソルテニウム活性種を発生させ,不活性なC-H結合に酸素官能基を導入する酸化反応を見い出した。この手法を発展させ,鉄,ルテニウ,銅を触媒とし分子状酸素によるアルカンの効率のよい酸化プロセスを開発した。(村橋) 2(1)嵩高い置換基を有しかつシリレン架橋したメタロセン(II)構造を有する希土類有機金属分子を分子設計し,1-ペンテン等の重合を行なったところ,高い立体選択的重合が起こることを見い出した。また,1,5-ヘキサジエンの環化重合では分子量13万を越えるポリマーが得られた。(安田) (2)モリブデンやタングステンのポリヒドリド有機金属分子[MH_4L_4]を,光照射または加熱下で有機アミド,イミドあるいは有機ケイ素化合物と反応させ,金属-N結合及び金属-Si結合を持った特異な有機金属分子の創製を行なった。(伊藤) (3)各種のルイス酸の存在下で,1-置換-2-(1-アルキルチオ)ビニルシクロアルカノール体は容易に開環する。この手法を用いて,5あるいは6員環化合物の開環反応により有機遷移金属活性種の新規創製法を開発した。(桑島) 3(1)3核のルテニウムペンタヒドリド分子(Cp'Ru)_3(μ-H)_3(μ_3-H)_2とブタジエン,イソプレン等の9種類の鎖状共役ジエンの反応を検討し,顕著な形状選択性を見い出した。(鈴木) (2)アセチレン架橋パラジウム分子によるイソニトリルのリビング重合を立体規則性重合反応に展開し,キラルイソニトリルの重合がらせん方向選択的に進行することを明らかにした。(高橋)
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