ヒドロホルミル化におけるRh(I)錯体触媒は一酸化炭素の強い配位子場で5配位飽和錯体が主要な触媒中間体と考えられるので、二座配位子が中心金属となすbite angle120°のジホスフィン(1)を設計、合成した。これはbite angle90°付近の高い歪みを受けても二座配位が可能であることを確認する目的で、この1を含むRh(I)のカチオン性錯体を調製したところ、単量体と共に2量体を副生することが分った。かつ、興味深いことには、溶液中では2量体が単量体に変化することが明かとなった。従って、ジホスフィン(1)は触媒サイクル中5配位ジエカトリアル位、6配位シス位のいづれでもRh金属中心に配位し得ることが一応保証された。これら錯体を前駆体としてスチレン、酢酸ビニルのヒドロホルミル化に用いたところRhH(CO)_2(acac)+ジホスフィン系と同様分岐型アルデヒドの生成が認められた。またそのTurnover frequency(TOF)測定で1>Ph_2P(CH_2)_2PPh_2がいずれの場合にも観測された。上記錯体のX線結晶解析を試みているが、未だ成功していない。
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