研究課題/領域番号 |
05238103
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
小林 信夫 東京都立大学, 理学部, 教授 (30087100)
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研究分担者 |
城丸 春夫 東京都立大学, 理学部, 助手 (70196632)
檀上 篤徳 新潟大学, 理学部, 教授 (40018669)
脇谷 一義 上智大学, 理工学部, 講師 (10053604)
山崎 泰規 東京大学, 教養学部, 教授 (30114903)
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キーワード | ECR多価イオン源 / 多電子励起状態 / 多価イオン-固体表面相互作用 / トロイダル型電子エネルギーアナライザー / エネルギー,散乱角同時計測 / オージェ電子分光 / 中空原子 |
研究概要 |
14.5GHzのマイクロ波を用いたECRイオン源および超真空ビームラインを都立大学に建設し、完成させた。3ヶ所の実験ステージにビーム供結が可能であり、現在のところビーム強度は加速電圧15kV,ビーム直径3mmでO^<6+>,Ar^<8+>イオンで約5μAである。本イオン源および東大・核研のECRイオン源を用いていくつかの実験が進行した。Ar^<q+>(q=2-9)をGaAs表面に減速して照射し、多価イオン-固体相互作用による表面粒子放出効果(スパッタ効率)を調べた。粒子放出効率がイオン価数に強く依存する結果を得、現在最終点検実験を行っている。O^<6+>-He衝突による2電子移行反応からの発光スペクトルを可視-紫外分光器により測定し、2電子励起状態からの発光を観測した。今後、多電子高励起状態からの発光スペクトルの精密測定を行い、理論との比較・検討を行う可能性が開けた。 電子-多価イオン衝突による励起過程の研究を目的とした2次元検出器を用いたトロイダル型エネルギーアナライザの開発を行った。電子-Arガスとの弾性散乱を予備実験として行い,散乱電子のエネルギーと散乱角を同時に観測出来る新しい分析器の開発に成功した。また、多電子高励起状態からのオージェ放出電子分光用のトロイダルエネルギー分析器もほぼ完成し、5月中には理研に設置されたECRイオン源を用いて実験が開始される。分子のクーロン爆発の研究は2原子分子を使って予備実験が行われており、間も無く多次元検出器を設置し本格的実験が開始される。 東京大学原子核研究所のECRイオン源を用いてオージェ電子分光測定が開始され、多くの多電子励起状態からのオージェスペクトルを観測した。また、1000Å程度の直径を持つマハチキャピラリーを標的とし、低速多価イオンを通過させることにより、中空原子(ほぼ中性の多電子高励起状態)を真空中に取り出すことを試みた。キャピラリー通過後の真空中で中空原子からと思われるX線スペクトルを世界で初めて観測した。現在確認実験が進行中である。
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