原子番号の大きい元素の多価イオンの電子状態の計算には、相対論が必須である。計算のためのコードとして、オックスフォード大学数学研究所のI.P.Grant氏等の手になるコードGRASP2(General purpose Relativistic Atomic Structure Program 2)を使用することとし、設備備品として新規に購入したワークステーション NWS-5000VIにインストールし、動作の調整を行った。現在調整は完了し、CSFの数にして2000弱の規模の計算が可能になっている。 大規模な計算には、プログラムの改良が必要である。そこで本研究の代表者は上記インストールに先だち、1993年8月、約1ヶ月にわたり、オックスフォード大数学研究所に滞在し、プログラムの書換、改良についてのノウハウ、さらにGRASP2の利用法についてのノウハウを学んだ。 加えて、オックスフォード大(現在、スエーデン、ゲーテブルグ)のS、Fritzche氏の開発した、Auger Programを、ゆずり受け持ち帰って、ワークステーションにインストールした。現在、動作の調整中であるが小規模の計算ならば安定に走り、合理的な結果を出すことが確認できている。
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