研究課題/領域番号 |
05239102
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西尾 茂文 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00111568)
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研究分担者 |
岩城 敏博 富山大学, 工学部, 教授 (90019191)
鈴木 俊夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70115111)
福迫 尚一郎 北海道大学, 工学部, 教授 (00001785)
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キーワード | 急速凝固 / 分子動力学 / 核生成 / 液体急冷 / 接触熱抵抗 / 接触界線 |
研究概要 |
本研究では、融液を急冷することにより大きな過冷却状態を動的に形成し、その後の凝固核生成→固相成長→界面形態形成→組織形成といった凝固素過程時系列の進行を制御する急冷凝固過程を超高速化することを目的として研究を行った。 まず、LJポテンシャルを有する分子モデルを用いて超急冷凝固過程の分子動力学シミュレーションを行い、発生する熱応力は液相の圧力に依存するが液相構造には依存しないこと、格子欠陥は固液境界層で発生すること、転位の運動が熱応力の急減をもたらすことなどを明らかにした。 一方、凝固素過程時系列の発現の端緒となる融液過冷却解除すなわち凝固核生成の制御については融液滴による実験を行い、核生成開始過冷度が液滴体積が小さいほどまた冷却速度が高いほど大きくなること、こうした効果は融液滴が固体と接していない場合に顕著となることなどを明確にするとともに、冷却固体面上に滴下した金属融液滴の凝固過程では冷却面表面性状が凝固核生成や冷却過程を均一化することなどを指摘した。 さらに、双ロール法など現実の急冷凝固システムにおける冷却速度を拘束している融液(あるいは初期凝固シェル)と冷却固体面間の接触熱抵抗の発生原因について検討し、固体面温度を一定に保った状態で固体面速度を増大させると融液-固体面-雰囲気間の接触界線は不安定→安定→不安定といった挙動をとり、不安定から安定への遷移条件すなわち安定化条件は凝固シェルの形成と密接な関係にあり、安定から不安定への遷移条件すなわち不安定化条件は融液の流体力学的非濡れ条件と関係があること、安定化条件は固体面材料の熱伝導性が悪いほど低速度側に移行することなどを実験的に示すとともに、接触界線の安定化させ接触熱抵抗の発生を回避するには接触界線近傍に過冷融液領域を出現させることが有効であるという指導原理を提案した。
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