研究概要 |
本研究では,エネルギービーム加工における高速かつ微細な高温現象を理解し,加工技術の一層の高精度化のための知見と方策を得ることを目的とし研究を行い,以下の結果を得た. ○放電加工(担当 西脇) 電極,工作物および加工液の温度を測定し,実加工におけるエネルギ配分を調べた.その結果,電極側へは工作物側よりも多くのエネルギが配分されていることがわかった.また,エネルギ配分の測定結果を用いて熱伝導解析により放電痕の形成について数値シミュレーションを行い,1回の放電においてアーク柱が電極や工作物表面を動きまわっていることを予測した.さらに分割給電法を用いて実際に単発放電におけるアーク柱の運動を検出し,電極と工作物の表面でのアーク柱の運動方向が同じであることを明らかにした. ○レーザー加工(担当 望月) 半導体レーザーおよびアルゴンレーザーによる高分子薄膜上のピット形成過程について3次元ピット形状測定および有限要素法による移動境界熱流体問題の数値解析を行い,以下の結論を得た. 1.熱流束および薄膜の吸収係数の増加はピット形成を促進する.また,ピット断面形状の縦横比は照射条件の影響を受け,ピット形状は単純な相似形状は保たない.2.安定なピットを形成するレーザーの照射条件には下限と上限が存在する.3.数値解析では時間的に初期の界面変形が再現できる.また,レーザ光の吸収モデルおよびビーム強度がマランゴニカを通して界面変形量に大きく影響することがわかった.
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