研究概要 |
本年度は,4名の研究者が,互いに連絡を取りながら,各々が基礎的な乱流の素過程を取り上げ,異なる手法を用いてデータベースの構築,モデル化のための研究を行った. 1.浮力効果,壁面吹き出し・吸い込み効果,磁場効果を伴う剪断乱流の直接シミュレーション(DNS)を行い,乱流統計量のデータベース化を達成し,今後のモデリング研究に備えた.また,相関係数を基盤とする応力・熱流束輸送方程式モデルの開発・評価を行った.さらに,乱流熱流束の散逸率の輸送方程式モデルの検討に着手した.(笠木) 2.3次元離散渦法による渦運動の数値解析コードを開発し,渦輪の3次元変形とエネルギスペクトルの発展,楕円渦輪の変形過程,楕円噴流および円板後流の発達過程を計算した.これらの計算による渦構造の発達過程は,実験結果とよく対応しており,3次元離散渦法の乱流モデルとしての可能性が示唆された.今後は乱流の種々の統計量と計算結果との定量的な対比によって,離散渦法の乱流モデルとしての評価を行う.(木谷) 3.研究分担者が先に提案し種々の流れで検証した応力方程式モデルを,DNSのデータベースを用いて,レイノルズ応力の収支のレベルで検討した.その結果,特に応力の再分配モデルについて,改良すべき点が明らかにされた.DNSデータに基づいてより精巧なモデルを開発する研究を開始した.第一段階として,厳密な壁面漸近挙動を既存のモデルより高次まで満たす新しい散逸および再分配モデルを提案した.(島) 4.各種プラントル数流体の伝熱解析用2方程式乱流モデルを開発した.その際,速度場2方程式モデルは,DNSデータベースを参考にして方程式中の項対項の比較により素過程のモデル化を試みた.波数空間での乱流モデルの構築も重要であるために,DNSデータを独自に作成し,それを用いエネルギ伝達関数のモデル化を行った.更に,乱流熱流束モデルの素過程である温度・圧力勾配相関のモデル化の研究に着手した.(長野)
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