研究概要 |
混相乱流は単相乱流に比べて,相間の相互作用など強い非線形性を持つとともに,分散相の存在そのものがある種の乱れを流れに引き起こすなど複雑な性質を有しており,現状では信頼できる混相乱流の数理モデルは無い.ここでは,混相流における乱流生成,乱流散逸,気泡や液滴の乱流拡散および壁面近傍現象の数理モデルの構築を目的とした一般性の高い混相乱流の数理モデルの構築を行う. 松本,芹澤は気液二相流の中でも比較的研究の進んでいる気泡流について乱流の数理モデルの確立をめざし,気泡と大規模渦,小規模渦,乱流渦の相互作用についての機構論的,統計的解析及び,数値シミュレーション手法を併用した合理的な構成方程式の確立を図った.松本は容器内の気泡プルームにおける大規模循環流と気泡群運動の干渉,気泡群の局所集中による脈動不安定など自然循環気泡流の非定常挙動に対する気泡径依存性を明らかにし,また分散相の数値計算法にオイラー法とラグランジュ法の二者を用いた場合の計算精度を比較・調査した.芹澤は気液二相流系に対する物理モデルを構築し,流路壁近傍を含めた全領域の相分布,乱流分布を精度良く予測する数理モデルの改良を行い,気泡と乱流渦の非等方的な相互作用について現状で最も合理的な構成式を導出した.辻は,鉛直チャネル内の固気二相流を個々の粒子の運動を追跡する計算方法によって調べた.その結果,粒子間衝突によって粒子クラスターが発生すること,クラスターに取り込まれる粒子と流体によって吹き飛ばされる粒子の収支によってクラスターは成長したり消滅すること,大きく成長したクラスターは集団となって鉛直下方に落下するなど,実際の循環流動層のライザー部で観察される現象にきわめて近い結果を得ることができた.
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