研究分担者 |
上原 邦昭 神戸大学, 工学部, 助教授 (60160206)
西田 豊明 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (70135531)
横田 将生 福岡工業大学, 工学部, 教授 (50112313)
白井 英俊 中京大学, 情報科学部, 助教授 (10134462)
北橋 忠宏 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70029453)
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研究概要 |
本研究は対話の最終段階における言語と概念・意図とを結ぶ機構を明らかにすることを目標としている。本目標を達成するために,対話のモデルと連想,発話と状況との相互作用,発話者が共有する常識の扱い,そしてそれらの明確なモデルに基づく発話の生成と理解という4つの課題を設定して研究を進めてきたが,本年度に得られた主な研究成果は次の通りである。 (1)日本語を媒介とする対話における語用論的知識を対象として考察し,省略と照応,前提などの現象が話し手/聞き手の両者からアクセス可能な状況に基づくことを理論的に裏付け,及びそれらを統一的に記述するメカニズムを開発した。 (2)音声対話における対象世界知識とタスク知識の分析に関して,知識表現と推論方式に関する研究を行ない,マルチエージェント方式に基づく常識ベースと利用システムに関する基本的な枠組みを開発し,それを実現した。 (3)音声情報伝達モデルおよび概念処理主導型音声理解モデルの構成を行い,概念処理の核となる常識および状況知識の整理,および適切な理解結果を得るプロトタイプシステムを開発した。 (4)対話コンテキスト(履歴)に適応した,対話文を生成する方式を検討し,既に開発した概念からの音声合成システムとの結合を図った。 (5)前年度に開発した発話意図推定メカニズムによって得られる情報を基に,事例ベース推論を用いたリアクティブプランニングに基づく発話立案メカニズムの開発と評価を行った。 (6)対話における意味的結束性を統一的に扱うモデルを構築した。さらに,人間の推論過程を計算機上で実現するために必要となる基本的な概念関係(抽象-具体や因果関係など)の整理を行った。
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