x線等によって照射された星のダイナミックスを調べるために、一次元と二次元の数値計算コードを作成した。一次元では、x線の吸収と流体運動を結合して解き、この結合により、蒸発に時間的な変動が現れることを見出した。これは、蒸発とともに吸収領域が膨張し、固体側から離れてゆき、これによって蒸発が少なくなると、今度は吸収領域が再び固体側へと近づき、また蒸発が大きくなるということを繰り返すからである。 このような一次元的な運動だけでなく、多次元的な不安定性も、観測に見出される不規則な変動に関連して重要である。特に、原子炉の溶融事故や火山の噴火に関連して現在注目されている水蒸気爆発は、バースト的な変動を説明する一つの候補として我々が注目しているメカニズムの一つである。この現象を解明するための二次元コードを作成した。二次元の計算においては、蒸発を伴う流体力学的運動を調べる前に、先ずは蒸発を無視した計算を今回行ない、既存の実験結果と比較しうる結果を導けることがわかった。この二次元計算結果を表示・印刷して解析するため、色数の多いカラープリンタを購入した。 さらに、二次元流体コードに組み込むべき蒸発の物理素過程を計算するための、分子動力学専用計算機の試作を開始した。次年度以降では、これを本格的に動作させ、二次元流体コードの入力としてゆく。
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