米国側(NASA)のバルーン計画の遅れにより、バルーン実験は94年10月以降になった。そこで本年度は、有効体積20×20×5cm^3程度の多少小型の液体Xe-タイムプロジェクションチェンバーを製作し、地上モデルテストを主眼に置いてテスト実験を行うこととした。液体Xe-TPCのチェンバー本体およびハイブリッドICプリアンプは早稲田大学で制作し、昨年6月には組立を終わり、チェンバー本体の真空テストとプリアンプの動作テストを行った。コロンビア大学にて用意したTPCの電極部分、プリアンプ以外の電子回路、真空装置、Xeガスの純化装置などと組み合わせて、9月には全体の組立を終えて10月には真空テストにとりかかった。11月には電子回路の調整を終えて、12月には最初のテストデーターをとることができた。 最初のテストは137Csからのガンマ線をコリメートして用い、このときのアノードから得られたエネルギースペクトルについては、エネルギー分解能は半値巾で約100keVであり、当初の観測目標である300keV-10keVには十分であると思われるが、現在さらに雑音の低減に務めている。また同時にセンスワイアーおよびアノードから良好な信号波形を得ており、現在はこのデーターより位置のリコンストラクションを行い、モンテカルロ・シュミレーションにより得られた結果との比較検討を行っているところである。
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