X線天文衛星ASTRO-D1993年2月20日に打ち上げられあすかと命名された。あすかに塔載されたCCDX線検出器SISは初期の動作チェックで観測を開始して以来一年を経た現在も順調に運用されている。しかし、軌道上での観測においては打ち上げ前には予期しない問題も発生した。地球からの太陽の反射光の影響、hot pixelとして知られるpixelの一種欠陥などである。本研究ではまず主に前者の影響について、詳しい解析を行い、これらを取り除く方法を開発した。これを用いてこういった問題を取り除いた上でバックグラウドの系統的な解析を進めた。具体的には、打ち上げ初期のデータから約半年の観測データを衛星の姿勢、軌道などをパラメータとして分類し、そのエネルギーペクトル、空間的な分布を調べた。これは大量のデータを高速に扱う必要があり、今回購入した高性能のワークステーションなしには不可能であった。この解析今後も継続する必要があるものであるが、これまでに以下のような量を決定することができている。onboard softwareによる荷電粒子バックグラウンドの除去率、バックグラウンドの絶対量、荷電粒子バックグラウンドのCCD chip上位置依存性、検出器内で作られる特性X線バックグセウンドのエネルギーと強度、荷電粒子バックグラウンドの衛星の軌道上の位置に対する依存性。現在この結果を今後のあすかのデータ解析にfeed backする努力が払われている。一方これらの結果は初めて実際に測定されたものであり、今後のCCDX線検出器のハードウエアーとソフトウエアーの設計にとって貴重なものである。
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