ガンマ線バースターは、全天にほぼ一様に分布し、突然に数秒間にわたってガンマ線を放射する天体であり、光学的に同定に至ったものはない。この光学同定が可能なら、位置決定ができるばかりでなく、ガンマ線バースターの正体を解く鍵になる。 この目的で、われわれは高時間分解能・広視野の光電子増倍管(II)カメラシステム(限界等級6-7等:30分の1秒継続)を組み、ガンマ線バースターに対応するような光学天体のフラッシュ現象の監視カメラを作成し、観測を行った。 カメラ本体は10月に完成した。当初、SNを上げるためにオンチップで積分をかける予定だったが、光電子増倍管を用いるとほとんど同じ限界等級が30倍の高時間分解能で得られることがわかり、設計の変更を行った。ビデオ信号によりビデオ画像として保存する部分は同じである。設計・開発は渡部が上野とともに従事した。 システムを組んだ後、国立天文台・三鷹において、性能試験等の種々の実験を行った後、空の暗い東京大学理学部天文学教育センター木曽観測所の夜天光観測室において行い、実際の運用上の問題となる露の防止策を講じ、山梨県北部の甲斐大泉に設置、12月から本観測を行い、200時間余りのデータを得た。 本観測の結果、ガンマ線バースターらしい光学フラッシュは今の所見つかっていない。現段階ではGRO衛生のデータがオープンされていないが、これと照合することにより、さらにガンマ線バースター発生時の光学フラッシュの検定、それによるモデルの検証などに道を開く基礎的な観測試料が本研究の結果として得られている。
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