研究課題/領域番号 |
05244213
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
足立 伸一 理化学研究所, 生体物理化学研究室, 研究員 (60260220)
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研究分担者 |
城 宜嗣 理化学研究所, バイオデザイン研究グループ, 副主任研究員 (70183051)
飯塚 哲太郎 理化学研究所, 生体物理化学研究室, 主任研究員 (30029475)
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キーワード | 時間分割蛋白質結晶構造解析 / 結晶内反応モニター |
研究概要 |
時間分解X線結晶構造解析法により蛋白質結晶内での反応を観測するためには、何らかの外的要因により反応を開始させるトリガーが必要である。このようなトリガーとしては時間設定の容易さ、空間的均一性などの点でレーザー光を用いた光トリガーが現在有望であると考えられる。一般に結晶内反応を開始させる際に外部トリガーによって試料に与えられた刺激が強すぎた場合には、えてして結晶性の低下が起こり回折点が放射状に延びてしまいデータの解析が困難になる。これが現在、時間分解X線結晶構造解析の研究を進めるうえでの大きな障害となっている。このような結晶性の低下を避けるためには結晶の状態を常にモニターし、反応が起こりうる最低限の刺激しか加えないことが重要であり、この目的に合致したモニターの開発が急務となっている。本研究ではレーザー光をトリガーとして時間分解X線結晶解析を行なうための前段階として、レーザーによる励起と同期させて蛋白質結晶の可視紫外吸収スペクトルをミリ秒以下の時間分解能で測定するシステムの構築を目指した。観測用の可視紫外部の白色光源としてキセノンランプを用い、光ファイバーおよびレンズ系を用いて結晶試料の透過光を分光器に導入した。検出器として多素子フォトダイオードを使用することにより、時間分解能として数マイクロ秒を実現する測定システムの構築が可能となった。この測定システムを用いて一酸化炭素結合型ミオグロビンの結晶をMd:YAGレーザー光(波長532nm)によって励起し、一酸化炭素の光解離後のスペクトル変化の測定を試みたところ、励起以後の一酸化炭素のミオグロビンへの再結合反応に伴うスペクトル変化が観測可能であることが分かった。現在、ミオグロビン以外の蛋白質結晶への適用も検討している。このシステムを時間分解X線結晶構造解析装置と組み合わせて使用することにより、X線回折と可視紫外吸収による結晶内反応の同時モニターが実現できることが期待される。
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