研究概要 |
大きさが数ナノメーター程度の極めて微小な金属マイクロクラスターを作成し、そのトンネル物性を調べることを目的にしているが、その第一段階として、まずSi(111)清浄表面上にAgを単原子層程度蒸着した際に形成される表面超構造のSTM観察をおこなった。蒸着量や熱処理温度により順次出現する√<3>x√<3>、3x1,6x1などの観察をおこなった。その結果、これら超構造の形成条件およびそれらの原子レベルでの構造が明らかになった。すなわち、(1)√<3>-Ag構造には高さが異なる2種類のものがあり、これらの原子レベルでの構造を提案した、(2)2種類の√<3>-Ag構造は、その作成過程により形成の様子が異なり、高温基板ではステップ部分に優先的に形成されることがわかった、(3)3x1-Ag表面は、明るい1本の輝点とやや暗い2本の輝点から成ること、(4)3x1-Agドメインの幅は21倍の整数倍であり、これらのドメインは7x7領域のアンフォールテッドハーフに接していること、(5)3x1-Ag表面はお互いにわずかに傾いた2種類の領域が形成されること、(6)6x1-Agは、3x1で見られた2種類の構造が一つおきに形成されたものであること、などが明らかになった。 これらの結果をもとに、第二段階として、原子状水素の室温吸着により形成される金属(Ag)マイクロクラスターのSTM観察をおこなった。マイクロクラスターのサイズ、形状、形成場所などについて実験を進めており、これらをふまえて、クラスターのトンネル物性を調べる計画である。
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