研究課題/領域番号 |
05245216
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研究機関 | 広島電機大学 |
研究代表者 |
遠藤 敏郎 広島電機大学, 工学部, 教授 (60069200)
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研究分担者 |
山田 光 広島電機大学, 工学部, 教授 (50069209)
李木 経孝 広島電機大学, 工学部, 助教授 (10136129)
紀 隆雄 広島電機大学, 工学部, 教授 (10033797)
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キーワード | 走査型トンネル顕微法 / 走査型トンネル分光法 / 低温超高真空STM / STS / 試料クリーニング機構 / 原子像観察 / 格子欠陥 / 超高純度金属 / 格子欠陥近傍のトンネル現象 |
研究概要 |
平成4年度迄に、低温超高真空STM/STSの開発を進め、グラファイト標準試料で本システムの低温STM測定の有効性を明らかにしていた。平成5年度には、低温での原子的尺度の格子欠陥像観察、並びに金属の原子像観察に向け、安定性・操作性に優れたSTMコントローラの設計製作をオリンパス光学工業(株)に依頼した。この導入を待って、自作のSTMソフト、並びにトンネル電流に含まれる雑音を取り除く新しい方式のトンネル分光測定のためのSTSソフトと電子回路系を組み込んだ。これと並んで、特に低温で試料表面に吸着するであろう水・ガス分子等を除去するためのパルスレーザーによる試料クリーニング機構の開発と、試料視野選択のための光学顕微機構を取り付けたトンネルユニットの開発を行った。これにより現在までに得られた成果は、 (1)微結晶グラファイトの格子欠陥を原子的尺度で観察-数種類の微細欠陥を約30Kの低温においても観察することに成功した。これら欠陥の構造に関しては現在解析を進めているが、層間の原子面の部分的な滑りを考慮することによって、観察されている幾つかの欠陥像が説明可能である。 (2)5-NINEの高純度バルク状Au、並びに6-NINE以上のバルク状超高純度AIの原子像を観察(室温)-金属での原子像観察は、自由電子の影響でトンネル電流のコラゲーションが小さく、表面の汚れ除去と、特にバルク状金属では平坦表面の生成が不可欠である。ここで用いたAIは、帯精製した超高純度AIを歪み焼鈍法で結晶成長させた。また両金属とも、最終的に約2muのダイヤモンドペーストで機械研磨した後、化学研磨することによって平坦面生成を行った。 試料作成面で予定に可なりの遅れを生じた。今後は、上記AI試料での格子欠陥観察と、この近傍での個々の欠陥特有のトンネル現象の解明に向けた研究の進展を目指している。
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