研究概要 |
蒸気爆発は,1)大きな非平衡状態が局在した状態の熱力学的特性,2)高温度差の液液接触過程における超高速・高熱流束伝熱と相変化の特性,3)これに伴う界面挙動と圧力波の発生機構,および,4)圧力波(衝撃波)の非平衡界面現象への熱・流体力学的作用などの基本現象に集約され,本研究これらを"超高速非平衡熱流体科学"の1分野という視点でとらえている.この視点からは液体・固体燃料系の爆発現象,慣性核融合炉の爆縮,核融合炉プラズマ崩壊時の相互作用,パルスレーザーや粒子ビームによる溶融・加工,高速飛翔体の衝突などの基礎現象も同じ研究分野と見なすことができる.本年度は,次の5課題に着目して計画研究を進めた.(1)超高速加熱下の伝熱現象:10^8K/sの超高速加熱体の固液界面における核形成・発泡挙動の界面現象と非定常伝熱現象を調べた.(2)超高密度エネルギー束下の界面現象のシミュレーション:レーザー等の超高密エネルギー束が,固体・液体界面に投入された場合の急激な溶融・蒸発の相変化と界面の動的挙動について流体力学的及び分子動力学的数値シミュレーションを行った.(3)高過熱液-液系の安定性と急速緩和過程:界面に気体水和物相を有する高過熱液液混合系における水和物相および気泡の発生条件や構造およびその成長や突沸挙動を調べ,その非平衡状態の安定性や急速緩和過程を調べた.(4)衝撃波の液液・気液界面への流体力学的作用:液体中に種々の制御された波形・振幅の衝撃波を入射し,液液及び気液界面の不安定性と微粒化の機構および特性(5)圧力波下の蒸気膜界面の熱輸送特性と界面挙動:急激な圧力変化や界面接触時の界面における急速熱・物質輸送特性を解明するとともにその界面挙動や微粒化への影響をしらべた.本年度はその初年度であるが研究成果は,一部学会誌に報告され,また,国内外の物理,応用物理,伝熱,原子力関連の学会で報告される予定である.
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