研究概要 |
蒸気爆発現象は,化学爆発,強力ビームによる高密度界面加熱,衝撃波材料プロセシングおよび高速飛翔体の衝突現象など強い衝撃波のエネルギーを利用した基本的物理現象と多くの共通する現象・機構を有する。本研究班では、これらも含め、「超高速非平衡熱流体現象」として研究をおこなってきた。本年度の研究課題を整理すると、1)非平衡状態にある固体・液体・気体の各面で生じる高速緩和現象、2)圧力波の伝播とその界面熱流動現象への作用である。高速緩和過程には、初期非平衡状態が大きな影響を与える。簡潔で,同定し易い初期非平衡状態を作り、その緩和過程を調べているが,それでも,高速で複雑な物理現象を呈する。今年は本重慮領域研究の最終年度であり、これまでの実験の整理と解析モデルの完成および計算機ネットワークを構成して、研究の相互連絡を謀った。本年度行われた研究課題は(1)「衝撃波下の気液界面における熱流体作用」(井上):熱的微粒化の定量的把握に関連した界面不安定性や微粒化について、CIP法を用いて界面挙動を調べ、微粒化機構の従来のモデルについて調べた。(2)[超高速加熱下の伝熱現象](庄司):水中における液体金属面の超高速パルスレーザ加熱と界面挙動、発生圧力と照射エネルギーの関連を調べ、モデルを構築した。(3)「超高密度エネルギー流束下の界面現象のシミュレーション](矢部):CIP計算法の改良とともに衝撃波下の気泡消滅過程での液体ジェットの形成およびレーザー照射によるアルミニウムの融解・蒸発を調べた。(4)「高過熱液一液系の安定性と急速緩和過程」包接水和物で被覆された過熱液滴の沸騰)(森):液一液界面あるいは気一液界面における包接水和物層の形成過程や層のモルフォーを実験的に解明し、水和物層の形成と内部の結晶の更新のメカニズムを考察した数理モデルを開発した。(5)「衝撃波の液液・気液界面への流体力学的作用」(吉澤):水中衝撃波と気泡との干渉でマイクロジェットの生成を確認し、ジェットの速度、ジェット生成に関する界面曲率、衝撃波の振幅、衝撃波面の勾配の影響を調べ、蒸気爆発の伝播機構に対するマイクロジェットの影響を検討した。
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