研究概要 |
本年度においては,加藤,小屋口はマグマ水蒸気爆発に関して,飯田は蒸気爆発のトリガリングと自発核生成現象に関して,伊藤,渡辺はそれぞれ工業的,学術的応用に関して,前年度までの結果を発展させ,また蒸気爆発の素過程を共通のキーワードとして研究を深めた. 加藤は室内実験と野外観察に基づくマグマ水蒸気爆発のスケーリング則を高温液と低温液の物性に基づいて確立するため,珪酸塩メルトと水の爆発的反応を再現するアナログ物質として,様々な水溶液を採用し,温度,粘性などをパラメーターとしたモデル実験を行い,爆発のエネルギー変換効率を決定する可能性を示した.小屋口は噴煙の定常モデルに基づいて,マグマ水蒸気爆発による噴煙の安定性に対する水分の影響を見積もった.密度成層した流体中での非定常ジェットの振る舞いを室内流体実験に基づいて検討し,噴煙の定常モデルの改良を進めている.さらに,桜島において大気電場の野外観察を行い,噴煙内部での水蒸気の凝縮過程によって噴煙周辺の電場が攪乱する可能性を示した. 飯田は,膜沸騰蒸気膜に対する圧力波の作用を解明するために,外部より付与した圧力波による固体面上蒸気膜の挙動と内部圧力変化を測定して理論結果と比較した.また,自発核生成後の沸騰気泡挙動と伝熱を実験的に解析するとともに,伝熱理論として過熱液層蒸発モデルを提案した. 伊藤らは,鉄-水系で蒸気爆発を利用した鉄粉の製造試験を行った.溶融鉄を水噴流中に落下することにより,蒸気爆発させ,生成する鉄粉の粒度分布を調べた.落下部分と噴流ノズルに改良を加え,小粒径の鉄粉の製造に成功している.渡辺は,Exploding Wireで生成した渦輪の衝突の相互作用の実験を行い,低レイノルズ数域での粘性効果を確認した.また,生成された微粒子の粒径は5〜7μmにピークを持つことを示した.
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