研究課題/領域番号 |
05248208
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
米原 典史 大阪大学, 歯学部, 講師 (70124534)
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研究分担者 |
竹村 元秀 大阪大学, 歯学部, 講師 (70192169)
前田 定秋 大阪大学, 歯学部, 講師 (00135732)
斉藤 喜八 大阪大学, 歯学部, 教授 (40110788)
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キーワード | 三叉神経感覚核 / 歯髄刺激 / 鍼刺激 / サブスタンスP / エンケファリン |
研究概要 |
歯髄を含む顔面口腔領域に分布する感覚神経は、三叉神経中脳路核を除くすべての三叉神経感覚核に投射するが、なかでも尾側亜核浅層領域(SpVc-I,II)は複雑な神経回路網を形成し、特に侵害性情報の伝達、制御にかかわる重要な部位である。そこで、この部位での歯髄刺激に伴う誘発電位の変動およびサブスタンスP(SP)、エンケファリン(Met-enk)量の変動を指標として、鍼鎮痛機序の解明を行った。「実験方法」実験は体重2.5前後のウサギ(雄)を用い、ウレタン麻酔下で行った。歯髄刺激として、下顎切歯歯髄を7-15mA、2HZ、0.1msecで100秒間(電気生理実験:誘発電位の測定)あるいは40V、100Hz、0.1msec、5pulses/train、繰返頻度2Hzで20分間(潅流実験:SPおよびMet-enk遊離)刺激した。「実験結果および考察」ウサギ前脛骨筋への鍼刺激は、下顎切歯歯髄刺激に伴う誘発電位のうち、SPが関与する成分(伝導速度約12m/sec:長潜時成分)を抑制した。この鍼刺激による抑制効果は、ナロキソンおよびメチゼルギドにより拮抗された。歯髄刺激に伴うSP遊離およびMet-enk遊離の増加は、いずれも鍼刺激により抑制された。鍼刺激によるSP遊離の抑制は、ナロキソンにより拮抗された。以上の結果より、SpVc-I,IIでは、鍼刺激は内因性鎮痛ペプチド系が関与する介在ニューロンに対し抑制的に働くことにより、またセロトニンが関与する下行性抑制系を賦活化することにより、侵害性情報伝達の調節を行っているものと考えられる。
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