尿が溜まり膀胱が拡張してくるとその知覚が中枢に伝えられ排尿反射を起こすことが知られている。頻度の高い膀胱の障害として膀胱炎があるが、これには、頻尿・膀胱痛と供に尿の酸性化が起こると知られている。この酸性液により膀胱知覚の感受性増加がおこり頻尿・膀胱痛が起こる可能性について検討した。ラットをウレタン麻酔し、L6ないしS1の後根線維より骨盤神経を電気刺激して誘発される単一活動電位を記録した。その結果、10本の伝導速度:CV18-2m/sのAdelta線維と28本のCV2m/s以下の線維が記録された。Adelta線維のうち、50%は膀胱拡張(5-40cmH_2O)に応じて放電した。C線維は56%が低圧(5-40cmH_2O)で、8%が高圧(41-60cmH_2O)で放電が認められた。膀胱内を酸性液に変化させたところAdelta線維はpH4.5・3.5・3.0の液で放電の変化が認められなかったが、C線維はpH4.5液で放電発生する膀胱圧の閾値の低下が半数の線維で認められ、さらに新たに2本の線維で放電が観察された。pH3.5液では全例で閾値が低下し、高圧の閾値であった線維の閾値も低圧群になった。さらにpH3.0液では、新たに2本の線維ではじめて圧力上昇による放電を認め、最終的に85%の線維で膀胱拡張に伴う放電を記録した。pH2.5液では、注入時より全例にて一過性放電が認められた。したがって、膀胱は酸性液により無随線維特意的にその感受性を増加させていることが示唆された。
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