本研究はラット肝臓のペルオキシソーム蛋白質の局在化機構を分子レベルで解明する。 目的遂行の第一歩として申請者はアシル-C_oAオキシダーゼ(AOX)を高度に純化したラット肝臓ペルオキシソームに取り込ませる系(試験管内インポート系)を確立し、AOXのカルボキシル末端3残基Ser-Lys-Leu-COOH(SKL配列)がペルオキシソーム局在化シグナルの最小単位であることを証明してきた。 本年度はカルボキシル末端にSKL類似配列であるSer-Arg-Leu-CooH(SRL配列)を持つウリカーゼについて同じく試験管内インポート系を確立した。さらにこの系を利用してAOXのカルボキシル末端3残基を含む合成デカペプチドが効率良くウリカーゼのペルオキシソームへの移行を阻害することからウリカーゼはAOXと同じ経路でペルオキシソームへ移行することを示唆すると同時に、oligo-directed mutagenesisによりSRL配列を欠失した変異蛋白質や、ArgをGluに置換した変異蛋白質はペルオキシソームへの移行が出来なくなることからウリカーゼにおいてもカルボキシル末端3残基SRL配列がペルオキシソーム局在化シグナルとして機能していることを証明した。以上のウリカーゼに関する仕事は現在、Eur.J.Biochemに投稿中である。一方、試験管内インポート系がウリカーゼについても確立されたことによりSKL配列、SKL類似配列の受容体の解析ならびに蛋白質の局在化に関与する未知の因子の検索のための有力な戦略手段を構築できたものと評価される。
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