研究課題/領域番号 |
05253206
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 紘一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (80011948)
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研究分担者 |
反町 洋之 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (10211327)
石浦 章一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (10158743)
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キーワード | 筋ジストロフィー / ジストロフィン / ジストロフィン類似蛋白質 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
デュシャンヌ型筋ジストロフィー(DMD)で欠損しているジストロフィンとそのアイソフォームであるDRPの発現様式、並びに筋崩壊の機構について検討した。常染色体にコードされるDRPがジストロフィンの胎児型アイソフォームであるかどうか検討する目的で、ジストロフィンが欠損しているモデル動物であるmdxマウスでのDRPの発現と、その発達過程における変化を蛋白的に追跡した。その結果、DRPはmdxマウス胎児骨格筋で強く発現しており、出生にかけて減少することが明らかとなった。しかし、出生後もDRPの発現は認められた。これは、出生後ほとんどDRPの発現が見られない正常マウスとは対照的であった。一方、ジストロフィンは胎児期には発現が認められないが、出生後骨格筋の膜に強く認められるようになった。以上の結果は、DRPがジストロフィン発現と逆相関になっていることを示し、後者の欠損を前者が補っていることを示唆していた。また、4人のDMD患者でのDRP発現を検討したところ、個人差はあったが一般的にDRPの発現量は増大していた。 DMDでは、ジストロフィンの欠損によって筋細胞膜が弱体化し、細胞外からカルシウムイオンが流入して蛋白分解の亢進が見られる、と推測されている。これに関与するカルシウム依存性蛋白分解酵素カルパインの発現量の増加も、今年度の研究により明らかになった。また、新しいカルパイン分子種p94が骨格筋cDNAライブラリーより分離され、全構造の発表と共に、代謝回転が他の分子種よりも速いことが判明した。mRNAの発現量がμ-、及びm-カルパインよりも多いため、新分子種は筋特異的蛋白分解作用に関与していることが示唆された。 今後は、DMD患者でのジストロフィン欠損とDRPの発現増強、並びにカルパインの発現との関連に的を絞り、筋崩壊の過程を明らかにしていきたい。
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