1.マウス胚幹(ES)細胞の血清アミロイドP成分(sap)遺伝子に挿入変異を導入するため、ES細胞の由来した129/Sv//Evマウスの遺伝子ライブラリーからsap遺伝子を単離し、これを用いて、次のようなジーンターゲティングベクターを構築した。 [5'-flanking region(約1.8kb)及び3'-flanking region(約2.5kb)を含む全sap遺伝子の第2エクソンに、マウスのES細胞で発現するMC1プロモーターに接続したG418耐性遺伝子を挿入し、さらにMC1プロモーターに接続したヘルペスtk遺伝子を5'端に接続したもの。] 2.上記1.のベクターをマウスES細胞に導入して得たG418及びFIAUに耐性の約120個の細胞の各々からDNAを抽出した。 3.上記2.のDNAの各々について、PCR法で、ジーンターゲティングの有無を調べた。しかし、変異遺伝子に特異的な2.9kbのフラグメントの増幅は無く、3個に1.6kbのフラグメントの増幅を認めた。そこで、これら3個のクローンについて、DNAをEcoR1制限酵素で切断し、sap遺伝子の5'端をプローブとして、サザーンブロット法で遺伝子標的組み込みの有無を検索した。しかし、内在性の正常sap遺伝子由来の5.8kbのバンドのみを認めた。これら3個のクローンについては、sap遺伝子の3'端をプローブとして、同様にサザーンブロット法で遺伝子標的組み込みの有無を検索する計画である。また、今後さらに多くのG418及びFIAUに耐性のES細胞を調べ、sap遺伝子に挿入変異が導入された細胞株を単離したいと考えている。
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