研究課題
相同的DNA組換えは集団の中で遺伝的多様性をもたらす役割と共に、損傷を受けたDNAの組換えによる修復に重要な役割を果たしている。本研究によって、これまでにRuvAとRuvBは複合体を形成し、組換え中間体であるHolliday構造に特異的に作用して、単鎖DNAの交換反応を促進して、ヘテロ二重鎖を形成させ、RuvCがHolliday構造交差点を切断して組換え体を分離し、DNAリガーゼが切断末端を再結合させて、組換え反応を完了させることを生化学的研究によって明らかにしてきた。更にruvA、BおよびruvC株を紫外線照射して培養すると、染色体の分離が起こらず、非常に長い細胞になる(1-2時間)。更に培養する(3-4時間)と、無核の短い細胞を分離する。このことは、損傷を受けた二本のDNA同士が組換え中間体であるHolliday構造を形成するが、ruv遺伝子の機能が欠けているため分離できなくなるためと考えられる。この結果は、RuvA・B・Cタンパクがin vivoにおいてHolliday構造の分離に関与していることを支持している。Holliday構造のアナログとして種々の形状のDNA(十字型、Y字型、線状2本鎖、それらの中央にパリンドローム配列をもつもの等)を合成DNAを用いて作成し、RuvCによる結合と切断反応を調べた。その結果RuvCは十字型DNAと強く結合するが、その切断にはパリンドローム配列をもって、交差点の移動が可能な十字型DNAのみを切断することが明かになった。RuvCはHolliday構造に非常に特異性の高いエンドヌクレアーゼであることが証明された。RuvCエンドヌクレアーゼの活性中心を解明すべく、多数のruvC遺伝子の突然変異を分離して、それらの塩基配列を決定した。その結果、複数のアスパラギン酸が活性中心を形成していることが明らかになった。
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