研究概要 |
食品由来angiotensin converting enzyme(ACE)阻害成分であるマグロペプチド(PTHIKWGD,tuna AI)について培養血管内皮細胞系におけるendothelin(ET)産生・放出への作用をradioimmunoassayを用いて検討し、以下の結果を得た。 1.Tuna AIはET産生を時間(4,12,24hr)及び濃度(0.1,1,10μg/ml)依存性に抑制し、この作用はangiotensin-II receptor anatagonistによりブロックされなかった。 2.Tuna AIにより(kininase II阻害を介して)作用が増強されるbradykinin(BK)がET産生を抑制し、tuna AIの作用がBK B_2-receptor antagonist,B-3824によってブロックされた。さらにBKにより刺激されるNOやprostaglandinの生合成の阻害剤がいずれもtuna AIのET産生抑制効果を消失した。従って、tuna AIのET産生抑制作用はBAECにおけるBK作用の増強によりもたらされることが判明した。 3.Tuna AIによりmRNAの転写が促進される増殖因子PDGFがET産生を抑制した。 4.Tuna AIフラグメントのなかでACE阻害作用のあるPTHIKWとIKW、ACE阻害作用のないIKWGDのにつきET産生への影響をみたところ、IKWとIKWGDに抑制がみられ、ACE阻害とET産生抑制には相関はなかった。 以上より、本ペプチドは血管内皮細胞においてkininase II-BK系に加えて少なくとももう一つ別の作用点を介してET産生を抑制することが強く示唆された。
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