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1993 年度 実績報告書

シナプス伝達抑圧とグルタミン酸受容体

研究課題

研究課題/領域番号 05260210
研究機関京都大学

研究代表者

平野 丈夫  京都大学, 医学部, 助教授 (50181178)

キーワードシナプス / 可塑性 / 小脳 / プルキンエ細胞 / グルタミン酸 / 培養 / 顆粒細胞 / 抗体
研究概要

培養下で形成された小脳顆粒細胞・プルキンエ細胞間のシナプスは生体や切片標本で知られているのと同様の可塑的変化を示す。顆粒細胞と下オリーブ核ニューロンの組み合わせ刺激は上記のシナプス伝達を長期抑圧し、その際にはプルキンエ細胞のグルタミン酸に対する感受性が低下することを示唆する結果も得られている。さらに、このシナプス伝達抑圧を誘導する必要十分条件がプルキンエ細胞の脱分極と顆粒細胞の活性化が同時に起こることであることも既に報告した。その後、グルタミン酸投与と脱分極の組み合わせによりプルキンエ細胞のグルタミン酸応答の抑圧が引き起こせることが、他の研究者により報告された。本研究ではグルタミン酸がどのような受容体に働き、長期抑圧が発現するのか検討した。グルタミン酸受容体はメタボトロピック受容体とイオノトロピック受容体に大別されるが、本研究ではどのサブタイプのメタボトロピック受容体が長期抑圧に関与するのか検討した。ところで、現在までメタボトロピック受容体のサブタイプに特異的な阻害剤は知られていない。そこで、プルキンエ細胞に多く発現していることが知られているmGluR1の細胞外ドメインに対する抗体を作製し、その抗体がサブタイプ特異的に機能を阻害するか否か検討した。mGluR1を強制発現させたCHO細胞にグルタミン酸を投与するとフォスフォイノシトール(PI)の代謝が亢進するが、抗体はこのPI代謝の亢進を阻害した。この抗体を用いてプルキンエ細胞を間接蛍光抗体法で染色すると、樹状突起が顆粒状に染色された。またこの抗体存在下でグルタミン酸投与とプルキンエ細胞の脱分極を組み合わせても、グルタミン酸応答の抑圧は起こらなかった。以上の結果から、mGluR1が長期抑圧の発現に関与していることが明かとなった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Tomoo Hirano and Keizo Kasono: "Spatial distribution of excitatory and inhibitory synapses on a Purkinje cell in a rat cerebellar culture." Journal of Neurophysiology. 70. 1316-1325 (1993)

  • [文献書誌] Hirano,T.: "Cellular and molecular mechanism of synaptic depression in a cerebellar culture." Functional Neurology. 8(4). 25-26 (1993)

  • [文献書誌] Shigemoto,R.,Nakanishi,S.and Hirano,T.: "Antibodies against a metabotropic receptor,mGluR1,inhibit long-term depression in cerebellar culture" Neuroscience Research Suppl.18. S46 (1993)

  • [文献書誌] Kasono,K and Hirano,T.: "Critical role of postsynaptic calcium in cerebellar long-term depression in culture." Neuroscience Research Suppl.18. S147 (1993)

  • [文献書誌] 平野 丈夫: "小脳培養系におけるシナプスと可塑性" ブレインサイエンス最前線'94 講談社サイエンティフィック. 98-109 (1993)

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公開日: 1995-02-08   更新日: 2016-04-21  

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