研究概要 |
1.カルシウムチャンネル受容体遺伝子DNAの塩基配列決定と機能部位の解析 当該コスミドから遺伝子DNAを取りだし、3'末端から順次塩基配列を決定して、約30kbの遺伝子構造を他の生物に先駆けて決定した。46箇のエクソンから推定したアミノ酸配列(5,068)について、哺乳動物のリアノジン受容体のアミノ酸配列と比較すると、膜貫通領域で40-70%、全領域で約40%の相同性が見られ、推定機能ドメインでのアミノ酸配列は良く保存されていた。カルシウム結合にかかわると推定される、いわゆるEFハンド配列が細胞質側に2つ存在した(M2〜M3の間)。今後カルシウム刺激によるカルシウムの放出機構を調べるのに役立つだろう。 2.転写制御部位の遺伝子微注入による同定と遺伝子発現場所 5'非コード領域とlacZの融合遺伝子を形質転換マーカープラスミドと共に線虫に微注入して調べた。開始メチオニンから少なくとも1、275bp以内にプロモーター活性が存在することがわかった。形質転換された線虫についてryr-1/lacZ融合遺伝子の転写活性を調べたところ、頭部・尾部の神経細胞、腸などの上皮組織で主に発現が見られ、体壁筋や咽頭筋、陰門筋に発現が見られた個体もあった。ryr-1遺伝子は多数の細胞で発現しており、詳しい細胞の同定を行っている。cDNAを発現ベクターに挿入して大腸菌で生産した蛋白質を用いて抗体を作成したが、組織化学的解析に有用な抗体は得られなかった。
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