(1)let-23遺伝子は、陰門形成の誘導に必須であることから、陰門形成誘導因子の受容体として陰門前駆細胞において機能することが推定されていた。ncl-1遺伝子をマーカーとするモザイク解析を行い、陰門形成においてlet-23遺伝子が陰門前駆細胞を含むABp系譜細胞でのみ必要であることを示した。 (2)試験管内で作成した欠失変異を持つkin-8遺伝子DNA、及び野性型kin-8遺伝子を持つ大過剰(モル比1000倍程度以上)のC.elegans全ゲノムDNAを混合し、PCR反応によって欠失変異を検出できる条件を検討、確立した。TMPとUVによって欠失変異を誘導した虫のF2数百個体のプール約2000について、上記のPCRテストを行い、確かに欠失変異を持つプール2つを見出した。しかし、sib-selectionにより、欠失変異を持つ個体を同定、回収することができなかった。 Tcl挿入突然変異については1株が得られた。この変異株では、Tclが膜貫通部とチロシンキナーゼ領域の間の部分をコードするエクソン中に挿入されている。この変異遺伝子をホモに持つ個体の一部(5%程度)には形態異常(こぶ、尾部が細いなど)が見られる。今後、挿入Tclの離脱に伴う欠失変異を分離し、変異形質がより高い頻度で起るか否か等を調べる予定である。
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