研究課題/領域番号 |
05263225
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
上田 均 国立遺伝学研究所, 遺伝実験生物保存研究センター, 助手 (60201349)
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研究分担者 |
広瀬 進 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 教授 (90022730)
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キーワード | 核内レセプタースーパーファミリー / 脱皮 / 転写因子 / 遺伝子発現制御 / トランスジェニックフライ / 標的遺伝子 / 塩基特異的DNA結合 |
研究概要 |
ショウジョウバエのFTZ-F1の幼虫期における発現時期について調べたところ、1齢から2齢への脱皮の時期に特異的に発現することが明らかになった。また、発現部位については、観察した限りほとんどの組織で発現が観察され、特に組織特異的な発現パターンは示さなかった。この結果は、カイコにおけるBmFTZ-F1 mRNAの発現パターンの観察と一致し、FTZ-F1が脱皮の頃に時期特異的に発現する遺伝子の発現調節に関与することを示唆した。 熱ショックプロモーターにFTZ-F1遺伝子を結合した遺伝子を有するトランスジェニックフライ系統を作成し、様々なステージの幼虫に熱ショックを与えてその影響を観察した。その結果、1齢幼虫および2齢幼虫の中期あるいは前蛹期においてのみ熱ショックで生存率が減少し、FTZ-F1が時期特異的に発現することが、幼虫の正常な発生において重要であることを示唆された。さらに、2齢幼虫の中期に熱ショックを与えた幼虫では、2齢脱皮をしなくなることが観察された。一方、前蛹期のトランスジェニックフライ系統に熱ショックを与え、本来発現してない時期にFTI-F1を発現させたところ、クチクラタンパクをコードする可能性のある遺伝子のmRNAの誘導が観察された。以上のことから、FTZ-F1およびBmFTZ-F1は、時期特異的に発現し、脱皮や変態に関係する遺伝子の発現調節にかかわっていることが示唆された。 FTZ-F1およびBmFTZ-F1から見いだしたFTZ-F1 boxと類似の配列を有する核内ホルモンレセプターにhumanのERR2がある。ERR2のFTZ-F1 box様配列をFTZ-F1のzinc fingerにつなげたキメラタンパクを作成し、DNAへの結合性を調べることにより、ERR2のFTZ-F1 box様配列もFTZ-F1 boxとしての機能を有し、ERR2はFTZ-F1同様単量体でDNAに塩基特異的に結合する因子であることを明らかにした。従って、FTZ-F1 boxは、核内ホルモンレセプタースーパーファミリーに属する因子の一部に存在するDNA結合ドメインであると考えられた。
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