転写制御因子として機能するmybがん遺伝子産物の機能制御メカニズムを遺伝学的に明らかにするため、ショウジョウバエmyb遺伝子(D-myb)について解析を行った。D-myb突然変異体および、D-myb遺伝子のシグナル伝達系に関与する変異体を単離するため、エンハンサートラップp因子を用いて、X染色体劣性致死突然変異体を分離し、スクリーニングした。得られた突然変異系統のうち、Pw-8という系統は、胚発生でのLacZの発現パターンがD-myb遺伝子発現パターンと非常に類似していた。このPw-8がD-myb変異体であるか否かを調べるため、D-myb autosome transformant (D-myb遺伝子は本来、X染色体劣性致死遺伝子)を作成し、この transfromantとPw-8とのcomplementation testを行なった。その結果、D-myb autosome transformantはPw-8の致死性を相補した。またヒートショックプロモーターにつないだD-mybを持つtransformantとPw-8とのcomplementation testでも、Pw-8の致死性は相補された。さらに、Pw-8のlocusをクローニングした結果、Pw-8 locusはD-myb locusと異なることが明らかになった。これらのことからPw-8はD-myb遺伝子の上流に存在する遺伝子である可能性が示唆された。
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