研究課題/領域番号 |
05267225
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
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研究分担者 |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (70237139)
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キーワード | 高次情報処理 / 視覚情報処理 / チンパンジー / 大脳半球機能差 / 比較認知科学 / 記憶 / 数の概念 / 視覚探索 |
研究概要 |
チンパンジーの高次情報処理の特性を非侵襲的手法によってヒトと直接的に比較し、ヒトに固有の情報処理様式とその系統発生的起源を、認知神経科学・比較認知の視点から明らかにした。「脳の高次情報処理」研究の一環として、チンパンジーの高次情報処理の神経的基盤を非侵襲的な手法で明らかにすることを目的としている。特に、(1)情報処理の階層性と、(2)大脳半球のいわゆる機能局在(lateralization)に焦点を絞って検討をおこなう。本年度は以下のような研究をおこなった。1.情報処理の階層性:ストループ効果の検出のための予備実験:ストループ効果の検出のための予備実験をおこなった。チンパンジー3個体(アイ、ペンデーサ、クロエ)を被験者として、見本合わせ課題で、色名漢字10字の識別を訓練し、さらに10色の識別を訓練した。チンパンジーにおける、漢字と色の識別における混同行列と判断に要する時間の基礎データを得た。2.数および数列の記憶における階層性:高次情報処理の階層性を検証する課題として、数列の記憶保持の方略にかんする研究をおこなっている。被験者はアイ。0から9までのアラビア数字をもちいて、3桁の数字をCRTに提示し、それを別のタッチパネルの数字にふれて選び出すことによって再生する。再生の手順の分析から2つの記憶方略の並存が示唆された。第一は位置に基づく記憶方略、第二は知覚的特徴検出の方略である。3.視覚探索課題:チンパンジーとヒトの視覚情報処理の階層性を直接に比較するための基礎研究として、いわゆる視覚探索課題をもちいた一連の実験を、同じ装置で同じ手続きで実施した。その結果、チンパンジーでもヒトと同様な探索非対称の現象が反応時間の分析から確証された。
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