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1993 年度 実績報告書

追跡眼球運動プログラミングにおける小脳の役割の生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 05267241
研究機関自治医科大学

研究代表者

永雄 総一  自治医科大学, 医学部, 助教授 (40164397)

キーワード霊長類 / 運動制御 / 学習制御 / 追跡眼球運動 / 小脳 / ニューロン / 前庭動眼反射 / 神経回路網
研究概要

前庭動眼反射(VOR)は頭が動く時に生じる眼球反射であるのに対して、追跡眼球運動は眼前を動く視標を注視する随意運動である。この2つの眼球運動が、小脳の異なる部位の神経細胞に独立に制御されているという知見を、生理実験及び解剖学的研究により得た。
1.猿の小脳プルキンエ細胞の活動を、微小電極法を用いて解析した。片葉の細胞は、頭の回転速度に特異的に反応するのに対して、それに隣接する腹側傍片葉の細胞は追跡眼球運動の際の視標の速度に特異的に反応した。また猿の頭と同時に動く視標を注視させてVORをキャンセルさせた時には、片葉の細胞には全く変化が見られなかったが、腹側傍片葉の細胞には大きな変化がみられた。
2.猿の片葉もしくは腹側傍片葉に、WGA-HRP,PHA-LやFastBlue等の順行性もしくは逆行性のドレーサーを微小注入し、軸索流によって運ばれていく神経終末や神経細胞を解剖学的に検索した。その結果、片葉では、前庭系が主要な苔状線維入力であるのに対して、腹側傍片葉では橋核系が主要な苔状線維入力であることがわかった。一方、下オリーブ核に由来する登上線維系については片葉、腹側傍片葉に差異は見られなかった。出力に関しては、片葉はおもに前庭核に出力しているのに対して、腹側傍片葉はおもに小脳中位核、歯状核に出力していることが明らかになった。
これらの所見は、片葉はVORの適応制御をしているという片葉仮説を支持する。また、腹側傍片葉は、橋核を経て伝えられる視覚系からの視標の動きもしくは大脳運動系からの運動信号を、登上線維信号を用いて修飾し、その結果を赤核もしくは、前頭眼野をはじめとする大脳眼球運動系に伝えることにより追跡眼球運動を制御しているのではないかと示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Nagao,・S,Hiramatsu,T.: "Reponsiveness of flocculus and ventral parafloculus Purkinje cells to vestibulo-ocular reflex(VOR)and smooth pursuit eye movements." Japanese Jornal of Physiologyor. 43,Suppl.2. 571 (1993)

  • [文献書誌] 永雄 総一: "小脳の伝達物質" CLINICAL NEUROSCIENCE. 11. 24-28 (1993)

  • [文献書誌] NagaoS.,Kitamura T,Yamada,J.: "Functional and anatomical differences of the flocculus and its relation to oculomotor control." Abtracts for Controversis in Neuroscience IV:Motor learning and synaptic plasticity in the cerebellum. 4. 13 (1993)

  • [文献書誌] Nagao S.: "Neural circuits underlying VOR plasticity." Journal of vestibular research. (印刷中). (1994)

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公開日: 1995-03-23   更新日: 2016-04-21  

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