ストレス応答の仕組み

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05268102
• 研究機関: (財)東京都臨床医学総合研究所
• 研究代表者: 矢原 一郎 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 副所長 (60109957)
• 研究分担者: 関水 和久 九州大学, 薬学部, 教授 (90126095) ; 中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114590) ; 品川 日出夫 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40029799) ; 伊藤 維昭 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (90027334) ; 石浜 明 国立遺伝学研究所, 分子遺伝, 教授 (80019869)
• キーワード: ストレス応答 / ストレス蛋白質 / 熱ショック蛋白質 / 酸化ストレス / SOS応答 / 細胞骨格 / 転写制御 / 蛋白質の分泌

研究概要

1.ストレスによって核内移行するアクチン結合蛋白質コフィリンがN端から3番目のセリン残基のリン酸化によって、アクチン結合能が負に制御されていることを明らかにした(矢原)。2.大腸菌のSOS応答を誘導するシグナルが1本鎖DNAであることを明らかにした(堀内)。3.熱ショック転写調節因子σ^<32>の安定性を制御するDnaK蛋白質の結合部位を同定した(森)。4.大腸菌の休止期で転写、翻訳装置の機能制御の仕組みを解明した(石浜)。5.FtsHが膜蛋白質の組み込み・アセンブリー、そしてある種の不安定な蛋白質の分解にかかわる、多機能な膜結合シャペロンであることを示した(伊藤)。6.DNA損傷の組換え修復を支配するRuvAは4重体、RuvBは2量体を形成して機能を発揮することを明らかにし、RuvCの立体構造をX線結晶解析によって解明した(品川)。7.出芽酵母のストレス応答変異株でSSC1合成に異常を示す変異が、ある種の転写調節因子であることを明らかにした(中村)。8.熱ショックによる細胞内DNAの超螺施構造の制御機構の一端を明らかにした(関水)。9.核内がん遺伝子産物Mybが熱ショック因子HSF3と相互作用することを見いだした(石井)。10.26Sプロテオソームに含まれ、逆シャペロン活性をもつサブユニットを同定した(田中)。11.ストレスがNF-KBを活性化する仕組みにかかわるシグナル伝達系を明らかにした(山本)。12.感染症においてHsp65抗原がマクロファージ表面に現れる過程を解析した(姫野)。13.自食作用に欠損をもつ突然変異体を単離し、その一つに特異的な蛋白質キナーゼを見いだした(大隅)。
なお、関水班員の研究完成のために、ハイブリダイゼイションインキュベータが緊急に必要になったため、最終年度ではあるが、配分された研究費より支出した。

研究成果

• [文献書誌] Yonehara, M. et al.: "Heat-induced chaperone activity of HSP90." J. Biol. Chem.271. 2641-2645 (1996)
• [文献書誌] Kimura, Y. et al.: "Role of the protein chaperone YDJ1 in establishing Hsp90-mediated signal transduction pathways." Science. 268. 1362-1365 (1995)
• [文献書誌] Miyata, Y. And Yahara, I.: "Interaction between casein kinase II and the 90-kDa stress protein, HSP90." Biochemistry. 34. 8123-8129 (1995)
• [文献書誌] Higashitani, N. et al.: "SOS induction in Escherichia coli by single-stranded DNA of mutant filamentous phage : Monitoring by cleavage of LexA repressor." J. Bacteriol.177. 3610-3612 (1995)
• [文献書誌] Shimoike, T. et al.: "Product of a new gene, syd, functionally interacts with SecY when overproduced in Escherichia coli." J. Biol. Chem.270. 5519-5526 (1995)
• [文献書誌] Yasukawa, T. et al.: "Increase of solubility of foreign proteins in Escherichia coli by coproduction of the bacterial thioredoxin." J. Biol. Chem.270. 25328-25331 (1995)