研究概要 |
繊毛虫テトラヒメナの温度感受性分裂停止突然変異株(cda突然変異株)を用いて分裂面の位置の決定や分裂溝陥入などの分子機構を研究している。分裂面の位置の決定に関しては、分裂溝の形成が温度感受性を示して停止するcdaA突然変異体を調べてきた結果、cdaAの突然変異遺伝子産物が分子量85,000の蛋白質(p85)であることを同定した。また、抗p85抗体を用いた蛍光抗体法によって、p85が分裂溝の形成に先立って、赤道面に存在する基底小体に出現することを観察した。その後、p85の出現した基底小体に沿って収縮環が形成されくびれが進行した。したがって、p85は分裂面の位置の決定に重要な役割をにない、p85を重合核として収縮環微小繊維が形成され、くびれが進行するものと考えられる。 本年度はp85の精製法の確立に努力し、さらに精製したp85のN末のアミノ酸配列を明らかにした。 1.p85の精製法の確立 テトラヒメナの抽出物を硫安分画し、さらに疎水性カラム(ブチルトーヨーパール)とイオン交換カラム(DEAEトーヨーパール)にかけることによってp85を50%以上含む分画を得た。現在さらに精製する方法を検討している。 2.精製したp85のN末のアミノ酸配列を決定したところインターロイキン3と高い類似性があることが明らかになった。このアミノ酸配列よりオリゴヌクレオチドを作成しこれをプローブとしてp85の遺伝子のクローニングを進めている。
|