本年度は以下の実験を行った。(1)アカパンカビの除去修復遺伝子であるmus-18遺伝子をグルタチオン転移酵素遺伝子に結合し融合タンパク質を大腸菌で発現させた。目的とする大きさのタンパク質を大腸菌から精製し、これを抗原としてウサギに抗体を作らせた。この抗体は野生株の核抽出液と交差反応を示したが、mus-18株のそれとは交差反応を示さなかった。この抗体を用いて現在MUS18タンパク質をアカパンカビから精製している。(2)アカパンカビの組み換え修復遺伝子であるmei-3遺伝子のゲノムおよびcDNAをクローニングし、その塩基配列を決定したところ、これまでに報告のあったmei-3のORFよりさらに上流までORFが伸びていることが明らかとなった。その間に2つのイントロンがあり、新たに70のアミノ酸がN末に加えられた。一方、この新たなORFが正しいことを示すため、いくつかの欠失を持つプラスミドを作成し、これらによるmei-3突然変異株の形質転換を試みた。またノーザンブロット解析によりmei-3遺伝子の転写物の大きさを測定した。これらの結果はいづれも新たに決めたORFが正しいことを示した。NEI3タンパク質は酵母のRAD51遺伝子産物との高い相同性を示した。
|