酵母において相同組換えに関与することが知られているRAD51を我々はヒトおよびマウスからクローニングした。その結果、マウスRad51遺伝子は339アミノ酸からなるタンパクをコードし、その配列は出芽酵母と約83%、また大腸菌のRecA遺伝子とは55%のホモロジーをもち、その構造が進化的にもよく保存されていることが明らかとなった。この遺伝子はマウスの脾臓、胸腺、精巣、卵巣また小腸など細胞分裂の盛んな組織で多く発現しており、有糸分裂時のDNA修復に関与していると考えられる。またこれらは免疫系、生殖系の細胞で発現していることから、IgやTCRなどのV(D)J-Joiningや減数分裂における配偶子形成に関与していることが予想される。今後このような組換え修復に関与すると考えられるRad51遺伝子をターゲテイング法により欠損させたマウスを樹立し、突然変異の蓄積や発がん、免疫系細胞の分化、生殖細胞における配偶子形成にどのような影響を与えるかを解析し、その機能を明らかにしたい。
|