ラットの舌上皮にG蛋白質共役型7回膜貫通型の味覚レセプターが多種存在することを明らかにし、そのうちの1つGUST27 cDNAについて検討してきた。いままでにin situ ハイブリダイゼーションによってGUST27は味蕾を含む舌の表側に発現し、裏側には発現しないことを明らかにしたが、さらに蛋白質レベルで部位を特定するために抗体染色を行った。そのためにGUST27蛋白質の3番目の細胞質側ドメイン(I3)中の10アミノ酸残基からなるペプチドをペプチド合成機で合成しそれを抗原として、ウサギに注射し抗体を作製した。ラットの舌に存在する有郭乳頭の切片で蛍光抗体染色を行ったところ主に味蕾の部分が発色した。このことからもGUST27蛋白質が味覚受容体として機能していることが裏づけられた。 次に、ヒト舌に存在する有郭乳頭および葉状乳頭を含む上皮よりmRNAを抽出し、dsDNAを作製し、GUST27を含む様々なG蛋白質共役型レセプターの3回目の膜貫通部分と6回目の膜貫通部分に共通する塩基配列、またGUST27の2回目と7回目の膜貫通部分に共通する塩基配列、オプシンの2回目と7回目の膜貫通部分に共通する塩基配列をもとにしてDNA合成機で作製したプライマーを用い50度でRT-PCRを行った。その結果GUST27と異なるタイプのG蛋白質共役型レセプターの断片(R36-2)を得ることができた。R36-2をプローブとしてヒトの舌の有郭乳頭の切片を用いてin situ ハイブリダイゼーションを行った結果、R36-2 mRNAは有郭乳頭の味蕾を含む上皮に発現することが確認できた。
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