研究課題/領域番号 |
05272105
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奥村 康 順天堂大学, 医学部, 教授 (50009700)
|
研究分担者 |
西村 泰治 熊本大, 医学部, 教授 (10156119)
渡辺 武 九大, 生医研, 教授 (40028684)
白井 俊一 順天堂大, 医学部, 教授 (30115860)
淀井 淳司 京大, ウイルス研, 教授 (80108993)
高津 聖志 東大, 医科研, 教授 (10107055)
|
キーワード | アポトーシス / FasL / IL-5リセプター / ADF / Lyn / SLE / 抗原ペプチド |
研究概要 |
免疫病の分子機構を個体、細胞接着分子、サイトカイン、シグナル伝達分子の遺伝子等の各レベルで解明を進め以下の実績を得た。 1)リンパ球のアポトーシスと免疫制御との関連から、抗FasL抗体はHIVの_<gp>120からとのシグナルと競合し、CD4,CD8の細胞死が阻止出来る事が判った。(古賀)又世界に先駆けて作製された抗FasL抗体を用いリンパ球による臓器炎、GVH反応等が阻止出来得る事が明らかとなった。(奥村)淀井はHTLV-1感染T細胞株の活性化とレドックス制御に関し、ADF(humathioredoxin)がアポトーシスを制御することと、その細胞内機序を明らかにした。 2)高津はIL-5受容体(IL-5R)α鎖変異遺伝子とβ鎖とのco-transfection実験により、IL-5シグナル伝達にβ鎖のみならずα鎖のドメイン、とりわけプロリンに富む領域(Pro^<352>-Pro^<353>-X-Pro^<355>モチーフ)がJAK2/STAT5の活性化に必須であること、Pro^<352>とPro^<355>が重要であることを初めて示した。IL-5Rα鎖の発現制御に関しCD38を架橋させるとIL5Rα鎖の発現が亢進すること、それにはBtKの活性化が関与すること、CD38とIL-5は相乗的にB細胞の増殖や分化を促進することなどを初めて明らかにした。 3)西村は抗原ペプチドの解析を行い、TCRによる認識に重要なアミノ酸残基を特性が非常に類似したアミノ酸に置換した極く少数のアナログのみが、T細胞クローンに増殖応答を刺激したが、大多数のアナログはこれを刺激することはなかった。これらの非刺激性アナログの約50%はTCRアンタゴニズムを発現することを明らかにした。 また4)渡邊はB細胞抗原受容体(BCR)からのシグナル伝達に機能的に関与しているLyn遺伝子の欠損マウスを作製した。Lyn欠損マウスでは、末梢リンパ組織におけるB細胞の減少、B細胞はslgM刺激による増殖反応が低下、LPSに対する増殖反応低下、可溶性CD40Lに対する増殖反応の低下が見られることを明らかにした。 5)白井は、個体レベルで免疫病の解析を進め、研究成果としてSLEのモデル(NZBxNZW)F1マウスの退交配系を用いて、マイクロサテライトDNA解析法により、NZBマウスの第四染色体のセントロメアから約90センチモルガンの即座に優性効果を示すSLE責任遺伝子の1つが存在することを発見し、Imh-1と名付けた。このImh-1は高免疫グロブリン血症やRassell body plasma cell(Mott cell)の形成に関与する遺伝子で、CD5陽性B細胞の異常分化に関与していることが示唆された。
|