1、サプレッサーT(Ts)細胞を中心とする解析 1)CD4^+のcognateタイプのTs細胞を主に用いて解析してきた。Ts細胞は、抗原提示細胞とのcognateタイプの細胞間相互作用によって、MHC拘束性に活性化され、MHC非拘束性にヘルパーT(Th)細胞活性を抑制した。Ts細胞による抑制はTs→Th細胞へと一方向性で、かつ細胞の種類に特異的であった。 2)Ts細胞クローンを固相化抗CD3抗体あるいは抗TCR抗体で刺激することによって、培養上清中に抑制活性が検出され、ゲル濾過で60〜70kdの分画に活性が認められた。Th1タイプあるいはTh2タイプT細胞クローンを同様に刺激しても、このような抑制活性物質は得られなかった。 3)Ts細胞クローンの抗CD3抗体刺激上清は、Th細胞クローンのIL2産生およびヘルパー活性を抑制したが、抗原特異的増殖反応を抑制しなかった。また、TCRを介するTh細胞刺激後のIL2R、CD69およびCD28分子の細胞表面発現量には変化がみられなかった。 4)前項で述べたように、Ts細胞はTh細胞のIL2産生を抑制し、ヘルパー活性を抑制するが、外来性にいわゆるヘルパータイプのリンホカイン(IL2、IL5)を加えても、Ts細胞によるTh細胞活性の抑制は解除されなかった。 2、ヘルパーT(Th)細胞を中心とする解析 1)Th細胞クローンのヘルパー活性は、ナイーブT細胞の共存によって著しく増強された。この時、Th細胞クローンの特異的活性化が必要であった。またヘルパー活性の増強は、Thlタイプ、Th2タイプいずれのクローンを用いても認められた。 2)Th細胞クローンからIL2/IL4を産生しないサブクローンが得られた。このクローンの抗CD3抗体刺激培養上清中に、T細胞を刺激し、IL2R、CD69の表現量を増加させ、IL2産生を増強させる活性が認められた。またTCRの表現量のdown modulationが見られた。ConA刺激培養上清中には、このような活性は認められなかった。 3)このような活性は、ゲル濾過で50kd分画に、非還元条件のSDS-PAGEで30kd以下の分画に認められた。
|