研究概要 |
(1)ヒト組み換え活性化遺伝子(RAG)発現誘導に関する研究 (1)ヒトRAG-1mRNA発現の微量測定法の確立:RT-PCR法によるヒトRAG-1 mRNAの高感度かつ特異的検出法を確立した。この系を用いて、正常細胞・血液系細胞株におけるRAG-1 mRNAの発現を検討したところ、胸腺・骨髄細胞・pre-B株(Nalm-6)・T細胞株(CEM)などの未熟細胞にRAG-1が発現していることが明らかになった。また、我々の樹立した胎児肝由来リンパ球様細胞株(FL)においてはその発現は見られず、FLがRAGを発現する以前の前駆細胞であることが確認された。 (2)FL細胞(未熟リンパ球株)のRAG発現誘導:マウス骨髄由来のストローマ細胞株(PA6)、ヒト骨髄由来ストローマ細胞株(RASV-5)をFL細胞を共培養することで、FLにRAG-1 mRNAの発現が誘導された。この発現誘導には、ストローマ細胞との直接接触が必要であること、またある種のサイトカインがこの誘導を増幅することを明らかにした。サイトカインとしては、IL-3,IL-6,IL-7が重要であることを明らかにした。 (2)ホメオボックス蛋白の特異的DNA結合配列の決定 ホメオボックス遺伝子(HB24)cDNAを用いて、in vitro translation kitでHB24蛋白を合成し、可能性ある全degenerativeオリゴヌクレオチドに対してゲルシフトアッセイを行った。ゲルから結合断片を回収し、PCRにより増幅するという行程を3回繰り返し、シークエンス特異的に結合すると考えられるヌクレオチドプールを得た。これをブルースクリプトベクターを用いてサブクローニングし、大腸菌にトランスフォームして得られたプラスミド(31種類)の塩基配列を決定した。その結果、24種のプラスミドDNAが同一のコンセンサス配列(7塩基配列)を含むことを明らかにした。得られた7塩基配列が特異的結合配列であることは、変異ヌクレオチドを用いたゲルシフトアッセイにて確認した。
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